-
2014.01.17田舎でもシェアハウス
シェアハウスというと、比較的都心にあることが多い。
もちろん、今は全国津々浦々あるのだが、利便性や物件の数を考えると田舎は難しい部分がある。
しかし、ここにきて地方でも需要があるようで、面白いニュースがありました。
(以下抜粋 東京新聞)
岐阜県八百津町の中心部から、さらに車で約二十分の山あいにある久田見地区。標高六〇〇メートルの丘陵地、畑と民家が点在する一角に、六十代以上の女性が共同生活する家「花籠(はなかご)」がある。シニア世代のシェアハウスといった感じだ。
運営するのは波多腰咲枝さん(65)、和雄さん(69)夫妻。二人の住人、小山田きぬ子さん(80)、山内みなさん(74)と暮らしている。
その食卓にはネギ、キャベツがたっぷりのお好み焼きや、カブの漬物、切り干し大根の煮物。肉は生活協同組合の配達だが、野菜は全て家の前の畑で自分たちが育てて、収穫したもの。「おいしかった。箸が休まらんで、手が疲れた」。小山田さんの言葉に、座が和んだ。
咲枝さんは、岐阜県立多治見病院(同県多治見市)で、長年働いた看護師。「退院後の一人暮らしは不安」といった高齢患者の声を聞いていた。一緒に住んで不安を解消したいと、定年退職を機に、共同生活の家の運営を五年前から始めた。
それまで住んでいた同県可児市の自宅からは、車で約四十分。貴金属加工業を営んでいた和雄さんも、仕事を辞めて一緒に引っ越した。“新居”は田の字の間取りの古民家で、三十年近く前に、和雄さんが知人から成り行きで買っていた。咲枝さんの母が一時入居していたが、死後は空き家になっていた。
夏には住居の前の庭や畑、空き地に生い茂る草を刈りに行く必要があった。それも、この地を選んだ一因だ。咲枝さんの退職金をつぎ込んで、離れと母屋を一体化するなどの改修をした。
夫妻は畑仕事の経験がないため、隣家の松浦美代子さん(72)に教わり、経験を積んだ。夫の和雄さんは心臓を患い、二人の住人も病気持ち。無理のない範囲で、それぞれの役割をこなす。掃除は分担。食事は共同で作る。犬の散歩は和雄さん、洗濯物干しは小山田さん、草取りは山内さんの担当。「役割があることで、仲間としてなじむきっかけができる」と咲枝さん。日々の生活の張り合いにもなるようだ。
食卓は一緒に囲むが、一人の時間も大切する。敷地には竹林や柿の木、梅の木、茶畑もあり、タケノコ掘りや梅の実もぎ、茶摘みなどもできる。
定員六人。部屋は個室でなく、家賃、水道光熱費、食費込みで月八万五千円。周囲はイノシシやシカも出る大自然。家の中は段差も多く、基本的に自立した日常生活ができる人を対象にしている。
子どもの世話になりたくない、一人では不安など、入居の動機はさまざまだ。「一緒に暮らす人から、いろいろな人生経験が聞けて面白いですよ。ここがなかったら、こんな経験できなかった」と咲枝さん。
和雄さんも「特段の努力はしていないが、皆さんのおかげで楽しく過ごせる」と笑顔で話した。